戦場で「勝ち残る」ための「知のソフトウエア」

情報が不十分で、ストレスのある過酷な戦場で「勝ち残る」ための現状分析、意思決定、計画作成、組織作り、実施の評価及びトレーニングなどを含むトータルメソッドです。
その有効性と信頼性は各国の様々な機関が認め、アメリカ陸海空軍・海兵隊、沿岸警備隊、FEMA、国連、NATOなどが採用しています。
海外では軍人出身の経営者や経営コンサルタントがそのノウハウを活用し活躍しています

はじめに

2人以上の人が集まり、何かをしようとするとき、意図せずとも「役割分担」を決め、目指すべき方向や基本的な考え方を話し合った上で、意思決定をし、アクションを起こします。さらに、人数が増えれば増えるほど、人々の活動をうまく纏め上げる「しくみ」としての「組織」創りが必要となります。「組織」とは、単なる人の集まりではなく、目的達成のために人が集まり活動する体系や仕組みです。
このようにして創られた組織を目的達成に向けて効率よく運営してくためには「組織を適切に管理すること」すなわち、「組織マネジメント」が必要となります。
「組織マネジメント」とは、「組織を円滑に動かすためのマネージメントスキル」であり、  「経営目的を達成するために、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を適切に管理・配分・運営し有効に機能させること」といわれています。
「組織マネジメント」と「リーダーシップ」や「命令・指示」は混同されがちですが、別のものです。
「組織マネジメント」の位置付けについて、山登りを例に説明します。
〇命令・指示
上司の「権限」で 強制的に登らせる
〇リーダーシップ
  上司の「人格」で 登る気にさせる
〇組織マネジメント
  組織の「仕組み」で 工夫して楽に登る

なぜ、「組織マネジメント」が必要なのか?

では、なぜ「組織マネジメント」が必要なのでしょうか?
「組織マネジメント」の考え方は目新しいものではなく、 会社組織を円滑に運営していくため、人材をはじめとする経営資源の有効的に活用するノウハウとして、従来からその必要性は認められていました。
個人の能力はたかが知れています。「3人寄れば文殊の知恵」といった諺が示すように、凡人でも知恵を寄せ集めれば、素晴らしいアイデアが生まれます。それを行動に移すことで大きな成果が生まれます。
このように、 企業が直面する課題を俗人的な個人の能力をもって解決するのではなく、一人ひとりの能力を結集し、その相乗効果を発揮させるため、組織として取り組んでいくことが重要です。そのため、組織マネジメントに基づく「仕組み」創りが必要となります。
最近の社会情勢を見ると、例えば、コロナ禍のような、過去に前例のあまりない、誰もが予想し得なかった状況、すなわち、将来の見通しが不透明・不確実で、常に情勢が変化していくような、「VUCA」ともいわれている、今までの常識が通用しない時代に突入しています。このような時代の中で、企業競争に「勝ち残る」ためには、今後直面する未知の課題を適切かつ速やかに解決できるような組織創りをして、会社の持つ能力を最大発揮させることが急務です。
進化論で有名ダーウインは、「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知的なものでもない。最も変化に適応できる種が生き残るのだ」といった格言を残しました。
これは、会社組織にも当てはまります。変化へ対応できずに今までのやり方に固執していたばかりに、倒産した多くの企業事例があります。これからは、変化対応力が求められる時代なのです。

「ミリタリー式組織マネジメント」とは?

各国の軍隊では、過去の戦いや活動の実績から得られた教訓から普遍的な原理・原則を抽出し、「ドクトリン」とう名称のシリーズドキュメントとしてまとめています。「組織マネジメント」に関する内容は複数の「ドクトリン」にまたがって詳しく記述されていることから、経営に参考となる部分を抽出して体系化し、「ミリタリー式組織マネジメント」と名付けました。
「ミリタリー式組織マネジメント」の定義は、以下の通りです。

企業の目的達成のため、経営資源(人・物・金・情報・空間・時間)を有効に活用して
効率の良い組織を創り、これを適切に運営・評価、訓練し、進化させる仕組み構築する方策」
 (「仕組み」を創って、動かし、評価し、鍛え、進化させる)

「ミリタリー式組織マネジメント」の特長と強み

「ミリタリー式組織マネジメント」には、 右の図で示すように、5つの特長、すなわち「体系的」、「網羅的」、「標準的」、「柔軟性」、「再現性」があります。
    〇体形的:ロジカルな検討が可能
     〇網羅的:検討の抜け・漏れやダブりを防止
    〇標準的:無駄な検討(Trial & Error)を回避
    〇柔軟性:いろいろな場合に応用が可能
    〇再現性:誰がやっても平均点レベルは到達可能 

特に「再現性」は、個人の能力に依存することなく、この手順通りにやりさえすれば、「誰でも合格点レベルに到達できる」ことを重視した最大の強みです。
また、「図上演習」と呼ばれるシミュレーションゲームを通じて、 組織が正しく機能するかどうかを検証・評価し、組織力が最大発揮できるようトレーニングを提供できることも強みで、他にはない特色といえます。
このように、非常に汎用性の高い、様々なシーンで応用できるノウハウですが、その反面、個別具体的かつ専門的な課題解決、経営でいうならば、人材採用、資金調達・・・などには十分対応していません。

「勝ち残る」経営に求められる7+αの能力

「ミリタリー式組織マネジメント」は経営組織に必要な能力として、以下の7+αの能力を提供します。
   ①現状分析力
   ②目的設定力
   ③意思決定力
   ④計画作成力
   ⑤組織編制力
   ⑥実行評価力
   ⑦自己訓練力
   αコミュニケーション力

①現状分析力

戦いの場には「戦場の霧(The Fog of War)」と呼ばれる不確実な要素が一定の割合で常に存在しています。このような「霧」の中にあっても、指揮官は戦いに勝つため或いは部下の命を守るため「決断」しなければなりません。
「決断」するためには、判断材料が必要です。このため、現場の「生情報」(Information)を収集し、統合・分析・評価のプロセスを経たうえで「情報」(Intelligence)に加工し、判断材料として指揮官に提供します。
経営においては、内部分析として自社の情報、外部分析として、競合他社、顧客及び市場の情報を収集し、これらを適切に加工し、リーダーに提供します。

②目的設定力

“ It is all about Objective!”(「目的」が全てだ!)
かつて私がアメリカ海軍大学(U.S Naval War College)で作戦を学び、教官を勤めたときに同校の教官が繰り返し学生に伝えたメッセージで、「目的」の重要性を強調しています。
経営組織が活動を通じて成果を得るためには、会社の向かうべき方向、すなわち「目的」を適切に設定し、「目的」が実現できたときの「理想の状態」を可視化・言語化しこれを全社員で共有することが必要です。軍事組織では、「理想の状態」を「エンドステート」と呼び、トップリーダーには「エンドステート」をしっかりとイメージしこれを部下に正しく伝えるスキルが求められ、そのための教育プログラムも用意されています。その内容をアレンジした内容が「目的設定力」です。

③意思決定力

「意思決定」に必要な情報が集まれば、指揮官は自分に課された任務達成のため、行動方針を検討し、「意思決定」します。戦場では、ベストコンディションの中で意思決定することは稀で、睡眠不足、空腹、負傷、疲労、恐怖感、パニックなどの肉体的・心理的にハンディや強いストレスを受けている環境中で最善の意思決定をしなければなりません。このため、どんな状況でも一定レベルの「意思決定」が出来るようなノウハウとプロセスが軍事の世界では確立されており、指揮官の意思決定をサポートする組織の運営法なども規定されています。そのような内容をアレンジしたのが「意思決定力」です。

④計画作成力

かつて経験したことのない大きな課題や問題に直面した時、今までやってきた前例は通用しません。このような場合、一定の思考過程に戻づいて白紙的に検討していく必要があります。このため、目指すべき「目的」を明確にし、目的達成のための「意思決定」を行い、これをさらに具現化・細部化し、実施に必要なリソースを割り当て、計画として纏め上げます。計画には予め想定される事態対応も含めたオプションプラン及び予想されるリスク対応も含めて作成します。
経営においても、前例のない課題に対応するため、このような手順で計画を作り上げるノウハウを体得しておくのが適切であり、そのノウハウをもってあらゆる問題解決に対応できるのが「計画作成力」です。

⑤組織編制力

作成した計画を適切に実行するために、計画の実行にフィットした組織を編成する必要があります。最近の傾向として、トップリーダーを頂点とした「ピラミッド型組織」は時代遅れ」といった風潮が見られますが、これは「ピラミッド型組織」がもつ本来の長所を十分活用していないからでしょう。ただし、短所としての「縦割り組織」がもたらす弊害は否めません。だからといって、既に会社組織として運営している「ピラミッド型組織」をある日突然、改変することは、業務を停滞させることになりかねないため、得策とはいえません。
軍事組織でも約10年前にさまざまな事件がきっかけとなり問題が顕在化し、「ピラミッド組織」の欠点を解消するための横断的機能組織(クロス・ファンクショナルナル・チーム(CFT)のコンセプトを導入し、組織の活性化を推進し大きな成果を収めています。 CFTは、縦割り組織の弊害から脱却するために考案されたアイデアで米軍をはじめとする各国軍隊が導入し、指揮官のサポート、スピード感のある意思決定、あらゆる課題への対応など、目覚ましい成果を収めています。
このため、「ピラミッド型組織」の利点を生かしつつ新たに横断的機能を付加することで更なる業務の効率化と柔軟性を確保することを提案しています。

⑥実行評価力

全ての物事は予め作った計画通りいくことはまずありません。このため、計画と実際を比較し、そのギャップを把握し、ギャップを小さくするよう計画を常に修正する努力が必要です。軍事組織では、このような「実行評価」を組織内に「しくみ」を作り上げ実施しています。適切に評価を行うためには、計画と実際の差を客観的に数値で測定できる基準が必要であり、軍事組織では、次の2つの視点から評価指標を使用します。
・「計画で決められたとおりに実行しているか?」
・「期待どおりの実績は出ているか?」
2つの視点に基づく評価指標の数値を計上することで実績を評価することができます。
経営においてもこの評価指標を導入し、常に計画と実際の差を判定・修正し目指すべき目的に正しく向かうようにする努力が必要であり、そのノウハウをお伝えしています。
また、想定されるリスクを予め評価し、許容できないリスクを軽減する対策も検討します。

⑦自己訓練力

「組織マネジメント」を学び、頭で理論を理解していても、実際の経営シーンで活用できなければ意味がありません。学んだ知識を実際に活かすためには、多く体験することが重要です。 このため、軍事組織では、「図上演習」といった手法を用いて、意思決定や計画の良し悪しを鍛える「頭の体操」のトレーニングをします。簡単にいうと、ボードゲームの中でロールプレイを行い、参加者は状況の人になりきって、与えられた想定にレスポンスします。
このノウハウはプロシア陸軍が18世紀に開発した兵棋演習のノウハウを発展させたもので、極めてアナログ的ですが、その有効性が高く評価され、各国の軍事組織で使われています。また、トレーングは他人に頼ることなく自分たちで必要なトレーニングを計画・実施・評価・反映させるといった自己完結的にトレーニングできることが重要であり、実習体験を通じてノウハウをお伝えします。

α.コミュニケーション力

組織活動は、言うまでもなく、「人と人とのかかわり」です。人は「コミュニケーション」を通じ、意思の疎通をしています。しかしながら、人それぞれの価値観、ものの見方・考え方、経験や立場などが異なるとコミュニケーションの「ずれ」が生じ、これ「ずれ」こそが、組織がうまく機能しない主な原因といっても過言ではありません。
私の多様な国際環境で勤務した経験を踏まえ、コミュニケーションの「ずれ」が発生するメカニズムを説明した上で、社内でコミュニケーションを行う上でのポイントをお伝えします。

得られるメリット

以上述べました「ミリタリー式組織マネジメント」を導入することで得られるメリットは、次の通りです。
■組織化されたスピード感のある意思決定
意思決定プロセスに基づき、組織としてPDCAやOODAループなどの「意思決定サイクル」を回し続けることで、スピード感のある意思決定を行うことができるようになり、その結果、次々と発生する案件に対し、時機を失することなく、対応することができます。
■生産性の向上
社員一人ひとりの能力、性格及び特徴を把握したうえで、適材適所に人材を配置し、能力に見合った目的を与えることで、個人のパフォーマンスを最大限に発揮させることができます。また、個人それぞれの活動を調和・整合することによって、相乗効果が発揮でき、その結果として生産性が向上します。
■情勢の変化への柔軟な対応
将来の予測がより難しくなっていく中で、情勢の変化を素早く先読みし、会社組織を柔軟に修正・変更し、最適化することで変化に柔軟に対応し続けることができます。特に、大事故や不祥事などの不測の事態が発生した時には、「クライシスアクションチーム」(CAT)を編成することで速やかに対処することができます。
■縦割り組織の弊害を解消
CFTの導入により、どこの部署の担当でもない案件を「たらいまわし」にしたり放置したりすることなく、適切に対応できるようになり、複雑な問題解決やきめ細かなサービスが提供できるようになります。
■人事交替時などの場合の事業の円滑な継続
会社組織が「しくみ」として機能しているため、人事交替や、突然欠員が発生した場合でも、切れ目なく事業を継続できるようになります。管理職交代時の場合も、組織は継続して動き続けることができます。
■やる気のない指示待ち社員を有能な社員に
上司は社員に対し「命令・指示しない」ことで、社員の内発的動機を促し、それぞれの立場で「自分は何をすべきか?」を自ら考え、アイデアを出し行動するようになります。その結果として、受け身姿勢から脱却し、「指示待ち社員」をやる気のある有能な社員に育て上げることができます。
また、社員は自分の仕事に「誇り」を持つことができるようになり離職防止にも効果があります。
■管理職(ビジネスリーダー)の負担軽減
「指示待ち社員」がいなくなることで、上司は部下に対し細かい指示を出し続けるといった「マイクロマネジメント」の状態から脱却することができます。その結果、時間的にも精神的にもゆとりが生まれ、管理職が本来行うべき本来の業務に専念できるようになります。

おわりに

以上、「ミリタリー組織マネジメント」について伝えしましが、このノウハウを導入すれば、組織が「仕組み」としてより有効に機能するようになります。また、社員が目的意識をもってやりがいを感じながら働くように変わり、会社の業績がアップします。その結果、より早く、より効率的に「目的」を達成することができ、山頂から素晴らしい景色を楽しむことができるでしょう。
導入をご検討頂くため、体験セミナーを随時開催しております。もし、興味をもっていただけたならば、是非ご参加下さい。

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