はじめに
6月6日(金)、東京都内にて栄都・三海安全衛生協会様主催の安全大会講演に
登壇の機会を頂き、約60名の方々に向けてお話しました。
テーマは、
「安全管理・事故対応・信頼回復は『仕組み』から」
~~海上自衛隊ヘリ事故の教訓から学ぶ安全の最前線~
「まさかの時」は、ある日突然やってきます。
安全管理においては、個人の注意力や経験に頼るのではなく、
誰が現場にいても同じ結果が出せる「仕組み」としての
安全管理体制づくりが不可欠です。
ここではその内容と学びをご紹介します。
この記事でわかること
✅なぜ 「仕組み」 が安全管理と事故防止の鍵になるのか?
✅現場で 属人化 から脱却し、再現性ある安全体制を作る考え方
✅「事故は発生した後」が真の勝負! 信頼回復までを見据えた 組織対応
講演の内容
〇講演のテーマ
安全は「仕組み」・「リーダーシップ」・「信頼」から
~海上自衛隊ヘリ事故の教訓から学ぶ安全の最前線~
〇背景
現場では常にリスクが潜んでいます。
しかし、事故防止活動は「属人的」な対応に陥りがちです。
今回の講演は、海上自衛隊で2年前に実際に起きたSH-60K対潜哨戒ヘリ
衝突・墜落事故の教訓から、
現場でも再現性のある安全管理の仕組みづくりを学ぶ機会として
独自の視点で企画しました。
〇聞き手の悩みや課題
😣同じミスやヒヤリ・ハットが繰り返される
😢安全活動が形骸化している
😢指示や経験に頼りきりで、属人性が高い
😢いざという時の初動対応やリーダーシップに不安がある囲み枠b
〇講演の狙い
海上自衛隊の事故実例を通じて、
安全管理、事故対応・信頼回復を人任せにしない、
「仕組み」としての組織的体制創りを学ぶ。
〇主な講演項目
■安全を守る「仕組み」
■事故対応の「仕組み」
■信頼回復の「仕組み」
〇講演内容
【安全を守る「仕組み」】
海上自衛隊では安全管理は「属人依存」を排し、
誰でも同じレベルの安全性が確保できる『仕組み』
として整備されています。
安全は「艦船安全」「航空安全」「一般安全」に分類され、
それぞれに安全管理者・補助者・安全幹部などの責任が明確に定められ、
事故防止計画、安全会議、安全教育、安全資料の作成・活用などが
計画的に行われています。
特に「繰り返し」「徹底」が安全文化の要であり、
現場に依存しない管理体制を目指しています。

大きな危険を伴う洋上での給油作業 敵の脅威下や暗夜でも行う。 上甲板には「安全守則」が掲示されている
【事故対応の「仕組み」】
事故が発生した際の初動対応は、人命救助を最優先に、
訓練・任務の中止、緊急通報、現場保存が迅速に実施されます。
次いで、事故調査委員会が設置され、事故の原因分析や経緯の記録、
再発防止策の検討を進め、再発防止教育や部隊監査、事故防止対策状況の報告
まで一貫した対応が求められます。
事故対応は「組織の姿勢」を映す鏡であり、
現場でいかに冷静に対応できるかが、社会的信頼の維持に直結します。
【信頼回復の「仕組み」】
事故発生後、社会からの信頼を維持・回復するためには、
迅速かつ誠実な情報公開と一貫性のあるメッセージ発信が不可欠です。
知床観光船事故とKDDI大規模通信障害という対照的な事例から学べるのは、
危機管理広報の5原則(迅速性・正確性・一元性・誠実さ・明快性)を
日頃から徹底することの重要性です。
そのため、模擬記者会見訓練などの事前準備が、組織の危機対応力を大きく左右します。

危機管理広報の4要素と5原則
【事故事例:海上自衛隊艦載ヘリ衝突事故】
伊豆大島沖で発生した夜間訓練中の海自SH-60Kヘリ2機の衝突・墜落事故は、
見張り要領や高度管理の不十分さが要因でした。
再発防止策として、
☑見張りの徹底
☑高度管理体制の強化
☑装備品の改修
といった具体的な改善が講じられています。

海自ヘリ2機が夜間訓練中に衝突・墜落。見張り不備と高度管理不足が要因。教訓は「仕組み」で安全を守ること
【CRM: Crew Resource Managementの重要性】
人間は必ずミスをする──これを前提とし、CRM(クルーリソースマネジメント)
の導入が海上自衛隊では推進されています。
CRMは、情報伝達、状況認識の共有、意思決定、ワークロード管理などの
スキルを通じ、ヒューマンエラーを最小化し、安全性・効率性を高めます。
こうしたスキルは航空・医療・海上・防災など多くの分野に応用可能です。

CRMの5つの要素
今回は情報伝達に焦点を当てて説明
【危機に強いリーダー】
危機時にはリーダーの『信頼・委任・決断・覚悟・冷静』という5つの柱が問われます。
さらに、「勘」「記憶」「経験」に頼らず、仕組みに基づいた行動が求められます。
優しいだけのリーダーではなく、厳しさと優しさのバランスを持ち、部下を信頼し、冷静に導ける指導力が不可欠です。

危機に強いリーダーの要件} 危険となり合わせの業界では仕事に対する「厳しさ」と部下に対する「暖かさ」が重要であることを説明
参加者の声
「現場で起きた事故例をリアルに知ることができ、当事者意識が高まりました。『事故対応は組織の姿勢が問われる』という言葉がとても印象に残りました。」
「リーダーに求められる『冷静さと覚悟』の重要性を改めて認識しました。自分がその場にいたらどう動くべきか、深く考えるきっかけになりました。」
「普段の安全教育がいかに属人的だったかを反省しました。今後は仕組み化を進め、誰でも同じレベルの安全行動が取れるよう整えていきたいです。」
「CRMの考え方は初めて聞きましたが、我々の現場にもすぐに応用できる内容でした。特に『情報共有と状況認識の共有』の部分は今すぐ取り入れたい。」
「事故後の広報対応が信頼を左右するという話は非常に実感が湧きました。模擬記者会見の紹介も大変参考になり、自社の危機管理マニュアルの見直しを考えています。」
おわりに
事故は、起きた後の「組織の姿勢」こそが評価されます。
平時から、安全も事故対応も「仕組み」で準備することが未来の信頼を守る道です。
今回の講演が、参加された皆様の現場の安全文化醸成につながることを願っております。
あなたの組織は、もし「まさかの時」が来たら──備えは万全でしょうか?
〇組織の安全体制に不安がある
〇有事の広報対応に自信がない
〇信頼回復の「仕組み」を整えたい。
もしひとつでも思い当たることがあれば、今が準備の時です!
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